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結婚してすぐの頃は、少しは家事を手伝ってくれていた夫が、しだいに何もしなくなり、最近では、おかずに文句を言ってばかりいるのだそうだ。
忙しさのあまり、できあいのお総菜ばかりを買っていたのは認めるが、彼女も働いているのだから、そう完璧に家事をこなせない。Sさんはひとしきり嘆いたあと、電話を切った。
険悪になっていた二人に、最悪の事態が訪れたのは、それからしばらくしてからのことだった。ある日、夜遅く帰ってくると、夫がひとりで、コンビニで買ったお弁当を食べていた。
もちろん、夕飯の支度はしていない。彼女がムッとすると、彼は「なんだよ。そんな顔をするなよ。腹が減っているなら、おまえもさっさと弁当買ってくりゃあ、いいだろ」と怒鳴ったのだそうだ。
結局、その後は、お決まりの夫婦喧嘩。売り言葉に買い言葉が重なって、「少しは私のことも考えてよ。あなたはいつつも自分のことしか考えてないじゃないの」と叫んだ彼女の顔に、最初は弁当が、次に、割り箸、最後はカップのみそ汁が飛んできたという。
「そんなに欲しいならやるよ」という言葉と共に。
うう、悲惨である。これじゃあ、全然素敵じゃない。
いくらスポーツ・クラブのような部屋があっても、休みのたびにプールに寝そべってカクテルをすすっても、なんにもならない。彼女が落ち込むのも無理はないが、彼のほうも、きっとみじめな気分だったろう。
くたびれ果てて帰ってきた挙げ句に、コンビニ弁当を投げつけて喧嘩するような生活は、いくらなのだって情けないじゃないか。結婚後の生活というのは、どんなに頑張ったところで、結局はみみっちい日常を守るための努力を続ける毎日だというのが私の実感である。
少なくとも、私の結婚はそうだった。みみっちくたって、とにかく昨日と同じように今日が過ぎたら、それでとりあえずは満足しなくては。
結婚している二人にとっての、日常生活というものだろう。もちろん、そんな日常にも、ハレの日とクモリの日というのはある。
お休みを利用しての旅行、ちょっとおしゃれしての外出、たまの外食、そうしたいつもと違うちょっとしたことは、日常をリフレッシュしてくれる。あくまでもハレの日であって、日常ではない。
そして、ハレの日はめったにないからこそハレの日なのだ。彼女は結婚生活を毎日ハレの日にしようと頑張りすぎたのだ。
そんなこと無理なのに結婚してからも所帯じみないようにと努力するのは大切なことだ。
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